初景色

我の強めな感想を書きます

けむりの軍団を観てほしい話

東京公演どころか福岡公演も終わり、大阪公演が始まろうとしているところ。どう考えても言うの遅くない?って気しかいたしませんが、関西圏のフォロワーさんもそこそこいるので、やっぱり書こうと思う。

劇団☆新感線の『けむりの軍団』を観てくれ~~~!!!1回だけの人はできれば増やしてくれ~~~!!!!!(強欲)

これは宣伝とかじゃなくて、私と好きを共有してほしいっていう甘えです。よかったらぜひ、感想お話ししよう?ということで、新感線ド新規なりにお勧めしてみようと思います。

公式のあらすじはこちら。
http://www.vi-shinkansen.co.jp/kemurinogundan/story.html

 

この作品、愉快痛快侍活劇と謳っているように、軽妙な会話が面白くて笑いもいっぱいあって、とっても楽しいお話です。騙し騙されいろんな勘違いに嘘が重なっていって、些事が大事に膨れ上がっていくのが面白い。

古田新太さん演じる真中十兵衛は、性格難ありで浪人として燻ってるけど、頭は切れるし戦えば強いし、かっこいい!池田成志さん演じる美山輝親はとにかく口が回って小狡くて、表情もくるくる変わって、でもお人好しな一面もあって魅力的。

そんなお二人と、大名・目良家に人質として嫁いでいた厚見家の姫様、清野菜名さん演じる紗々姫と、その家臣、須賀健太さん演じる雨森源七の二人が出会い、すったもんだの末に一緒に厚見領へ向かうことになるわけなのですが、熟練のお二人と若くてまっすぐなお二人の4人の道中が、面白いやらかわいいやら。

敵方の目良家と、もう一つの勢力である夭願寺の面々は、ステレオタイプな悪役の面白さもありつつ、因縁に翻弄される人間味もあるのが観ていて楽しい。

振り返ってみると、話の筋だけならわりと真面目でギミックが面白いって感じなんだけど、とにかく笑いっぱなしなんだよなぁ。掛け合いがほとんど全部面白いし、セリフ以外でも隙あらば笑わせてくる感じでほんと楽しいです。

殺陣もかっこいいし、歌や踊りもとっても楽しくて大好き。

特に殺陣はね、古田さんが1対多で戦ってるとこがめちゃくちゃかっこよくて、ほんとかっこよくて……かっこいいんですよ!そして早乙女太一さんの殺陣はやっぱりきらびやかでうつくしいんですが、飛沢莉左衛門、キャラクターがほんとに面白くって。初日付近に観たときからどんどん面白さが進化していて最高です。それから、夭願寺住職の残照、粟根まことさんが薙刀で戦われるのもとてもうつくしくて、見惚れてしまいます。長物って、いいですよね。

そんな感じで、1回観るだけでも、たくさん笑ってかっこいいのも見られて楽しかったな~と思って帰れる作品だと思います。

 

が、複数回観てみると、観れば観るほど味が出る!!

なんだかね、基本的にからっとしてるし、敵方にどろどろはあっても笑いがあるのであんまり重くも感じなくて、気軽にさらっと観られる作品だと思うんですけど、回数を重ねるごとにキャラクターの持っている背景がじわじわ効いてくる気がするんですよね。

というのも、いろんな場面のいろんな台詞にキャラクターの背景が散りばめられているから。さっき笑いながら聞いてた台詞が、さらっと流してた台詞が、真面目なシーンになってぐっと質量を持って迫ってくる。もちろん1回でも感じられる部分はあるでしょうが、台詞が自分の中に沁み込んでくるほどに感じ方も深くなるかなぁと思います。

それから、やっぱり複数回観ると、いろんな表情に気づけますよね。そういうのってもちろんこの作品に限った話ではないんですけど、この作品だと特に面白く感じられて。全体的に軽妙で、弱さが前面に出てくる人があんまりいないからこそ、人間味が見えてきたときに響くのかなぁ。

 

主人公チームの4人に関しては、あっさりした雰囲気だけど、この背景を持った人がこういう選択をするって相当情が芽生えてるよな~とか、ここでこんな顔しちゃうんだ!とか、4人の間に滲んでくる情を丁寧に拾っていくとすごく愛おしくなったりして。

特に私は、ラストシーンの輝親の表情が好きすぎて……。詳しく言うとネタバレになっちゃうけど、お城で後ろ向いて座ってるシーンで、紗々が十兵衛に話しかけるときの輝親の表情を見てチケット10枚増えたので、そこ見てほしいんですよね。3回目で下手側から観たときに初めてそこの表情が見えて、は!?そんな顔するの!?って、なんか本当に衝撃だった……あんなの好きすぎる……。毎回表情違うんですけど、どのときも大好きです。みんなも下手側入って……。

 

それから、特に女性陣が観れば観るほど好きになります。このお芝居で泣くことはないと思ってたんだけど、どんどん思い入れが深くなっていって、博多座楽では3回泣けてしまってちょっとびっくりした。

最初から大好きだったのは中谷さとみさん演じる千麻。目良家の側室で、面白いキャラなんですが、最後の見せ場で少女の顔を見せるのがすごく好き。本当のところどうなりたかったのか、何が彼女の幸せたり得たのか、わかれる気はしないけど、心を寄せて見つめていたい。

ストレートに心を動かされるのは、清野菜名さん演じる紗々姫。ふてぶてしいくらいに堂々としていて、同情を引くようなやり方をしないところがかっこいい姫ですが、置かれた状況を考えるとしんどくないはずないんですよね。しんどい状況でも姫という立場に対する自負と努力で諦めずに進んできたんだなって思います。でも何も感じていないわけじゃない。恐怖も悲しみも呑み込んで踏ん張ってきたのが見えるシーンで、心臓をわし掴みにされます。

高田聖子さん演じる嵐蔵院は、一見「悪役」といったイメージだけれども、何回も観た今となっては一番守りたくなる存在。権力を持っている強い女性だけれども、いろいろ切なくて。立場ゆえに強くいなくてはならなかったけど、素はかわいらしい人なんだろうなと思わされる表情や反応がいろいろあって、守ってあげたくなるんだよなぁ。特に一幕の夭願寺で、顔を背けちゃうときの表情が好き……。ここもたぶん初見だと台詞しゃべってる人を見るから、あんまり見られないと思うので、ぜひ複数回入って見てほしいところです。

 

そんな感じで、とにかく大好きなこの作品、ぜひ観ていただきたく……!

まだチケットがある日程もございますし、
http://www.vi-shinkansen.co.jp/kemurinogundan/tour.html
当日券・当日引換券もございますので、
http://blog.vi-shinkansen.co.jp/?p=2225
どうぞよろしくお願いします!

 

ネタバレ配慮して文章書くの、あんまりやったことないから、この拙い文で魅力が伝わるかちょっと不安ですが……少しでも伝わるといいなぁ。ここには書き切れなかったこともいっぱいあるので、おいおいネタバレなしの感想も書きたいと思います。

とうとう大阪公演も始まりますね。私自身はあと数回しか行けないので、もう少しで会えなくなっちゃうと思うとさみしいんですけれど、博多もめちゃくちゃ楽しかったし、大阪もとっても楽しみだな!フォロワーさんに会えるのも楽しみにしてますね!!

では、劇場で!